HSP気質のある人は、繊細さや高い感受性で生きづらさを感じつつ、さらに日常生活において「居場所がない」ように感じて悩むことも少なくないのではないでしょうか。
そこで、今回は、HSP気質の人が「居場所がない」と悩みがちになる理由について解説します。
感覚の違い
HSPの感覚や抱えがちな悩みを周囲から理解されにくいことが、HSPが「居場所がない」と感じる理由の一つです。
世の中にはHSPよりもそうでない人の割合のほうが多く、必然的にHSPは自分とは異なる感覚の人と接することが多いため、他者との違いを感じる機会も多くなります。
また、HSPは共感能力が高く、他者の気持ちを理解したり想像したりすることができますが、一般の人にはHSPの気持ちや感覚を理解することは難しいことも、居場所がないと感じる原因と言えます。
そもそもHSPという概念自体を知らない人もいますし、たとえ知っていたとしても、それが感覚的にどのようなものかは実感できないでしょう。
「そんなの考えすぎだよ」
「HSPなんて本当にあるの?」
と、HSPを否定するようなことを言われる状況を目の当たりにする場合もあるため、どうしてもHSPは孤独感を感じて居場所がないように感じられることも多くなってしまいます。
少数派であること
一般に、HSP気質のある人は世の中の20%ほどだと言われています。
この数字がどの程度正確かはわかりませんが、世の中にはHSP気質でない人のほうが多いのは確かです。
そのため、普通に生活するなかで「自分に合うものが少ない」「非HSPに合わせている」と感じることが多くなりがちです。
たとえば、映画を見るにしても、一般の人はわりとどのジャンルでも楽しく見れる人が多いかもしれませんが、HSPは刺激を避けるため、ジャンルによって選り好みをする人が多いのではないでしょうか?
映画以外のことでも、HSPが生活するなかでは、余分な刺激を避けるために警戒したり工夫が必要だったりすることも出てきます。
しかし、そんなHSPの生きづらさのような部分に対して、関心を抱いている人はあまりいないでしょう。
世の中にはHSPの存在があまり認知されていない、HSPにとって生きやすいとはいえない状況に遭遇することが多いことが、わずかに疎外感を抱く原因になることもあります。
疎外感や孤独感を感じがち
HSP気質のある人は、日常的に疎外感や孤独感を感じる機会が多くなりがちです。
ほとんどの人はまったく気にしないようなささいなことが気になってしまうなど、HSPは日ごろから生きづらさや疲労感を抱えています。
それを解消するために一人で休む時間が必要になることもありますが、それに対しても「いつもダラダラしてる」と言われてしまうなど、周囲から理解されにくいです。
このような周囲から理解されにくい状況のなかでやり過ごさなければならないことに疎外感や孤独感を感じることも、居場所がないように感じられる理由となります。
身近なところに仲間やロールモデルがいない
HSP気質の人は世の中に20%ほどしかいないため、身近なところで同じHSPの人と出会う機会は少ないです。
出会っていることもあるかもしれませんが、相手もしくは自分がHSPと自覚していなかったり、隠していたりすることもあると思います。
HSPという概念は段々と知られるようになってきているとはいえ、自分がHSPだということになかなか気づけないこともあるでしょう。
私自身も、HSPという概念自体はもっと早くに知っていましたが、そのときは「自分は多分違う」と思っていて、あまり気に留めていませんでした。
HSS型HSPと自覚したのはここ数年のことです。
そうすると、「HSP同士で感情や悩みをシェアする」といったことも難しくなります。
そのため、自分が抱えているような悩みにどう対処すればよいのか気軽に相談できる人が見つかりにくいだけでなく、うまくやり過ごしている手本となるような人も見つけにくいという悩みも生じてしまいます。
さらに、このような状態だと、「自分は他人と違う特殊な性質をもっている」ような気がして自分に自信がもてなかったり、他人に自分のことを伝えたくても、自分が何にどう悩んでいるのか、うまく言葉にして誰かに伝えるのが難しくなったりすることも悩みの一つになります。
他人軸になっている
HSP気質の人は、共感能力が高いため、人の期待に応えようと過剰に頑張ってしまうなど、過剰に自分を責めてしまうこともあります。
他人の感情に引っ張られてしまいがちで、必要のないことにも責任を感じて自分を責めてしまい落ち込むこともあるでしょう。
ただ、そうしていつの間にか他人の感情を中心に物事をとらえたり判断したりしてしまうようになると、他人と対等でいられないため、自分の居場所がないように感じられてしまいます。
自分の居場所があると思える状態になるには、「自分は受け入れられている」「自分が安心してそこにいられる」といった要素が必要ですが、自分が他人軸で物事を判断していては、心からこのように思える関係性を築くことはできません。
他人に合わせようとしてしまう
HSP気質のある人は、会話や行動など、つい他人に合わせようとしてしまうことも多いのではないでしょうか?
ただ、いくら他人に合わせようとしてみても、それは「表面を取り繕っているだけ」なので、実際に相手と話が合うわけではありません。
実際にはそれは自分でもわかっています。それでも、露骨に話を折ってしまったり、空気を変えてしまうのが怖くて、ついその場の流れに合わせてしまうこともあるでしょう。
ただ、話を合わせて無理にその場になじもうとしていても、その相手とは心の触れ合いがなく、本当の意味で相手と仲良くなれるわけではありません。
それが疎外感や孤独感につながって、「自分には居場所がない」という感覚を強めてしまうことになってしまいます。
まとめ
HSP気質のある人は、さまざまな理由から孤独感や疎外感を抱きがちで、それが「居場所がない」という悩みにつながってしまいます。
とはいえ、そのように悩んでしまうのは、HSPの置かれている状況をみれば、ある程度仕方がないことと言えるでしょう。
「居場所がない」と感じてつらいときには、自分のなかでどのようなことが原因となってそう思っているのかがわかるだけでも気持ちが軽くなるので、まずは自分の気持ちをよく理解するようにしてみてください。